新製品がリターンとなっておりますので是非チェックしてみてください。
なぜコットン栽培をはじめたの?というところもご紹介していますので読み物としてもお楽しみいただけます。
皆様、どうぞご支援を宜しくお願い致します。
島根県雲南市で国産超長綿100%製品を安定供給できる体制をつくりたい
https://camp-fire.jp/projects/view/522325
]]>
加藤完一商店ではポロシャツとソックスを販売していますが、どちらも糸は60番手三子(みこ、と読みます)を使用しています。
なぜ60番手三子を使用するのかご説明します。
知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、番手は糸の太さを表す単位です。
1ポンド(約453g)の重さで840ヤード(約768m)の長さを「1番手」と定めています。つまり、1ポンドの重さで1,680ヤードの長さとなるものを2番手といいます。同じ重さ(1ポンド)のコットンで倍の長さの糸を作るので、2番手は1番手より細くしなければいけません。ということで、この番手の数値が大きければ大きいほど糸が細いということですね。
番手が大きくなるほど糸は細くなるので、生地はやわらかく、肌触りのよいものになります。一方、番手が小さいものは糸が太いため、丈夫で透けにくい生地になります。
Yシャツなどは使用されている糸の番手が記載されている場合があります。高級シャツの場合、80〜120番手の糸を使用し上品で高級感のある物が多いです。
ちなみにコットンの綿番手と、ウールなどの毛番手はルールが異なります。
「綿番手で言うと…」などと、毛番手を綿番手に換算し直して話をする場合もありややこしいです。。。
このように糸は太さを決めて紡績します。さらにそれを撚って糸をつくります。
撚っていない1本の糸は単糸、2本撚った糸は双糸、3本撚った糸を三子といいます。
さて本題です。
加藤完一商店の糸は細番手といわれる60番手の三子の糸(60/3と表記します)を使用しています。
ではなぜ加藤完一商店では60番手三子の糸を使用するのでしょうか。
加藤完一商店の糸は60番手が3本なので、大体20番手くらいの太さの糸になっています。初めから20番手の糸を作ればいいのに、と思った方はスルドイです。これには理由があります。
撚り合せた糸は単糸よりも太さが均一な糸になります。単糸には太さムラがありますが、2本合わさるとムラを打ち消し合い、より均一になります。合わせる本数が多いほど均一なムラのない糸になります。
また強度も変わります。双糸は強さは2倍ではなく、単糸の2.5~3倍になります。お互いの糸が補強し合い、1本の糸と比較すると2倍以上の強度になります。
こんな理由で初めから20番手単糸をつくるのではなく、60番手をつくり、それを三子の糸にしています。
単糸より双糸や三子の方が強度があることがわかりましたね。でもなぜ三子にまでする必要があるのでしょう。双糸でも十分に強度はあります。これにも理由があります。
双糸の場合と、三子の場合の糸の形状を図にしました。
双糸は横長の糸になっているのが分かります。一方、三子はより丸に近い形になっているのが分かります。
この形状の違いが生地にした際の肌触りに影響します。
より丸みを帯びた糸の方がかどがなく、肌触りのよい生地になるのです。また表面に現れる編み地もより美しく見せてくれます。
三子は管理が難しく、3本の糸の撚りのバランスが取れていないと編み立てした生地が斜行してしまう恐れがあります。ニットポロの場合、18ゲージという非常に細かな編み立てをするデリケートな設備を使用するため尚更管理が難しいです。
しかしそこは紡績工場のバランス調整と、ニット工場の設備コントロールによって一定の品質の製品がつくられています。
手間がかかり、技術が必要な工程ですが肌触りや強度を追求し、この仕様になりました。
このように糸の強度や肌触り、編み地の美しさなど、糸の番手と撚りが製品に与える影響は非常に大きいです。
皆さんも普段、服を購入される際には是非注目してみてください。
私たちはコットンのワタ毛を利用して衣服や布団をつくっています。
しかしコットンの綿毛は人間に利用されるために生まれてきたものではないです。
では何のためにあんな不思議なものがあるのでしょう。
まずコットンの実の構造についてご説明します。
綿毛はコットンの実であるコットンボールが成長し、乾燥して割れた中から出てきます。
その綿毛の中にコットンの種が包まれています。
コットンボールが乾燥し中から綿毛が出てきます
コットンボールから綿毛を取り出した中に種があります
綿毛は種を中心に放射状に生えています
この綿毛、実は何のためのものかよくわかっていないのですが、より広範囲に種を運ぶための仕組みだと言われています。
しかし長距離を風に運んでもらうには大きすぎるし、鳥が食べることができない綿をどのように運ぶのでしょうか。
ハワイ島のような海に囲まれた島にも野生のコットンがあることから、綿は海を渡り、流れ着いた土地で進化したと言われています。
また南米原産の綿はペルーの海外沿いの砂地に生えていることから、北向きに流れる海流に乗り北上したと考えられ、その範囲は中央アメリカまで続いています。
このようにコットンは海を渡り新たな土地を求めるため綿毛を持っているのです。
元々海を渡るための綿毛だったものが、やがて人間が利用する、という特徴を得て世界中に広まりました。これはコットン本人たちも予想外ですね。
私の育てている品種も南米原産のものなのですが、まさかこのコットンも島根県で育てられることになるとは思ってもいなかったでしょう。
コットンは非常に強いフロンティア精神を持っている植物です。
]]>加藤完一商店の製品第一号ニットポロシャツをつくった理由。
前回の第一回、第二回で既にお話していますがコットンて様々なものをつくれるんですね。大きく分けると織物、編み物にできますし、その中でシャツやパンツ、セーター、Tシャツなどなど多種多様な製品に加工することができるんですね。
それはコンセプトが自然体に着られる服、だからです。
自分らしく自然体でってことを考えたときに私は”リラックス”という言葉が浮かんだんですね。心が安らかで落ち着いていること。不安や心配がない状態です。そのための服ってなんだろうと考えました。
まず上下スウェットっていうのが一番だと思いました。これは本当に落ち着きますね。そのまま寝れちゃうんですから。でも少しだらしない気もしますし、外出する際に上下スウェットでは気になります。それは自然体とは少し違うなと思ったのです。
そのときにポロシャツというのは非常にバランスの取れた衣服だと思ったんですね。家で着ていてもだらしなくなく、Yシャツほど固くない。頭からスポッと着るだけなのに襟があるから上品に見える。着ていてもストレスがかからず動きやすい。
特にニットのポロシャツは絶妙なバランスで、カジュアルにもビジネスにも使えます。
ハイゲージのポロシャツは編み目が美しく適度な光沢があり、鹿の子のポロシャツに比べ上品な印象になります。そのため普段着として使用する際はきれいで落ち着いたスタイルになります。
ニットポロなので上品な印象になります
ビジネスで使用する場合、ポロシャツはスポーティになり過ぎるきらいがあります。しかしハイゲージのポロシャツの場合はカジュアルになり過ぎません。特に超長綿のニットは独特のドレープ感がありビジネスの場でも違和感がありません。
18Gニットポロシャツの表面:独特の光沢とドレープ感があります
このようにポロシャツは非常によい塩梅の衣服なんですね。そのため長く愛されているのだと思います。
気軽に使えて、そしてそのまま外に出かけられるくらいには上品に着られる。
それはひとつの自然体だと思うのです。
こんな理由から加藤完一商店の最初の製品はニットポロシャツに決めました。
これから次期に向け新しい製品をつくり始めます。常に自然体を意識した服づくりを進めていきます。
]]>そもそも皆さん、ニットって何であるか意識されることがあるでしょうか。ニットは編み物を意味するのでお母さんがマフラーやセーターを編んでくれる姿が浮かびますね。どうしても冬物の厚手のものをイメージしてしまうのですが、実はTシャツや肌着、ポロシャツもニットなんですね。
Tシャツや肌着は丸編みと呼ばれる方法で編んだ生地をカットして縫製したものです。カットして縫製(ソー)するのでカットソーですね。ポロシャツは鹿の子という方法で編んだ編み物の生地を使用しており、こちらも生地をカットして縫製したものです。
それに対し、加藤完一商店のポロシャツは横編みと呼ばれる編み方でつくられています。横編みは「成形」編みをしているためカットしなくても初めから前身頃、後身頃、袖など各パーツの形をしたものを編んでくれます。それを縫製しているためカットが必要ありません。
このようにニットといってもつくり方や用途によって様々なものがあります。
それは着心地を追求したからです。
先ほどご説明したとおりTシャツや鹿の子ポロシャツは生地をカットして縫製します。
そのため生地と生地の縫製部に縫代ができてしまいます。
Tシャツの裾ウラ:サイド(脇)や裾に大きく縫代があります
鹿の子ポロシャツの袖ウラ:リブへの切り替わりで大きく縫代があります
これが首もとや袖にあると肌にあたりゴロつきの原因となります。
ところが横編みニットの場合、縫代ができません。これは成形編みとリンキングという縫製技術のお陰です。
横編みニットの裾ウラ、袖ウラ:リブへの切り替わりで縫代がないです
襟元:後身頃(背中の生地)から襟への切り替わりで縫代がないです ※わかりやすくするため織ネームを外しています
リンキングは下の画像のような針が並んだ機械に一目ずつニットの編み目を入れていきます。つなぎたいパーツを2つ重ねるようにして針に通し縫製します。なんとこれを手作業でやるというので驚きでした。ニット製品は自動機で行うものだと思っていたのですがこれはもう職人技。職人さんが細かな針に手早く編み目を入れていました。
リンキング機械
工場を見て気づいたのですが自動なのは各パーツを編むところだけで他の工程はまだまだ人の手で行われていました。聞くと1着のニットをつくるのに20~30の工程が必要とのこと。自動機にしてもクセがあって職人さんはそこを調整していいものをつくる。自動だけど自動じゃない。職人の手仕事でした。
この細かなリンキングを行うことで縫代が少なく、ゴロつきが抑えられます。サイドや袖の結合部など、ストレスがかかりやすい部分については長持ちして着ていただくため縫代を取っていますが首元、袖口など肌に触れて敏感な箇所は縫代をなくしています。
せっかく無農薬コットンを使用してつくる製品です。このリンキング技術でコットンの肌触りそのままの着心地のよい服を作りたい。そんな想いで横編みのニットポロシャツをつくることに決めました。
次回は、ニットポロシャツをつくった理由その③自然体に着られる服って何だを考える、です。]]>
加藤完一商店が主に栽培しているのは超長綿と呼ばれる繊維長が35mm以上のコットンです。繊維長が長いため細い糸を紡績してもちぎれず、しなやかで肌触りが良い糸がつくれます。
この超長綿を使ってTシャツ、パンツ、シャツ、様々な製品が作れるのですが加藤完一商店はハイゲージニットからスタートしました。
そもそもハイゲージニットとはゲージ数(編み目の細かさを表す単位)が高いニットの事で、この数値が高いほど編み目が細かいです。5ゲージ以下をローゲージ、7~10をミドルゲージ、12ゲージ以上をハイゲージといい、加藤完一商店でつくっている18ゲージのニットはハイゲージの中でもかなり編み目が細かいものです。
第一期の収穫を終えた2018年、Tシャツにしようか、パンツにしようか、Yシャツにしようか、と複数の工場を調べている中で新潟のニット工場へ問い合わせをしました。担当者の方から「うちの機械は超長綿をつかった細番手の糸じゃないと良さが出ないんですが加藤完一商店さんの綿で細番手の糸は紡績できますでしょうか」と確認があったんですね。
「うちのニットは超長綿じゃないと難しいです」
これは電話口でニヤニヤしてしまう言葉でした。私からしたらむしろ!そっちです!そうなんです!全然他の綿より収穫量低くて、害虫もすごくて育てるの大変だけど、なめらかで触り心地最高な超長綿を育ててるんです!そういう変なことをしているんです!と興奮気味で回答しハイゲージニットをつくることに決めました。
この工場では極細の糸を三本撚り(三子)した糸を使用することで衣服の耐久性をあげながら、尚且つ肌触りの良さを維持した服をつくっていました。三子の糸を使用することで編み目の美しさが立つのも特徴です。その極細の三子の糸をつくるのに超長綿が必要だったのです。
こんなこともあり私はハイゲージニットをつくることに決めたのでした。
オーガニック超長綿でつくるならハイゲージニット、超長綿を活かし、その良さを最大限引き出してくれる工場で製品づくりを行っています。
次回は、ニットポロシャツをつくった理由その②です。