ニットポロシャツをつくった理由-その②やわらかさを活かせるニット技術〜すばらしき縫製技術・リンキング 〜

加藤完一商店の製品第一号ニットポロシャツをつくった理由。

今回は第二回「②やわらかさを活かせるニット技術〜すばらしき縫製技術・リンキング〜」です。

そもそも皆さん、ニットって何であるか意識されることがあるでしょうか。ニットは編み物を意味するのでお母さんがマフラーやセーターを編んでくれる姿が浮かびますね。どうしても冬物の厚手のものをイメージしてしまうのですが、実はTシャツや肌着、ポロシャツもニットなんですね。

Tシャツや肌着は丸編みと呼ばれる方法で編んだ生地をカットして縫製したものです。カットして縫製(ソー)するのでカットソーですね。ポロシャツは鹿の子という方法で編んだ編み物の生地を使用しており、こちらも生地をカットして縫製したものです。

それに対し、加藤完一商店のポロシャツは横編みと呼ばれる編み方でつくられています。横編みは「成形」編みをしているためカットしなくても初めから前身頃、後身頃、袖など各パーツの形をしたものを編んでくれます。それを縫製しているためカットが必要ありません。
このようにニットといってもつくり方や用途によって様々なものがあります。

それではなぜ加藤完一商店のポロシャツは横編みニットなのでしょう。

それは着心地を追求したからです。

 

先ほどご説明したとおりTシャツや鹿の子ポロシャツは生地をカットして縫製します。
そのため生地と生地の縫製部に縫代ができてしまいます。

 
Tシャツの裾ウラ:サイド(脇)や裾に大きく縫代があります

鹿の子ポロシャツの袖ウラ:リブへの切り替わりで大きく縫代があります

 これが首もとや袖にあると肌にあたりゴロつきの原因となります。
ところが横編みニットの場合、縫代ができません。これは成形編みとリンキングという縫製技術のお陰です。

 

 
横編みニットの裾ウラ、袖ウラ:リブへの切り替わりで縫代がないです


襟元:後身頃(背中の生地)から襟への切り替わりで縫代がないです ※わかりやすくするため織ネームを外しています

 リンキングは下の画像のような針が並んだ機械に一目ずつニットの編み目を入れていきます。つなぎたいパーツを2つ重ねるようにして針に通し縫製します。なんとこれを手作業でやるというので驚きでした。ニット製品は自動機で行うものだと思っていたのですがこれはもう職人技。職人さんが細かな針に手早く編み目を入れていました。

 
リンキング機械

工場を見て気づいたのですが自動なのは各パーツを編むところだけで他の工程はまだまだ人の手で行われていました。聞くと1着のニットをつくるのに20~30の工程が必要とのこと。自動機にしてもクセがあって職人さんはそこを調整していいものをつくる。自動だけど自動じゃない。職人の手仕事でした。

 この細かなリンキングを行うことで縫代が少なく、ゴロつきが抑えられます。サイドや袖の結合部など、ストレスがかかりやすい部分については長持ちして着ていただくため縫代を取っていますが首元、袖口など肌に触れて敏感な箇所は縫代をなくしています。

せっかく無農薬コットンを使用してつくる製品です。このリンキング技術でコットンの肌触りそのままの着心地のよい服を作りたい。そんな想いで横編みのニットポロシャツをつくることに決めました。

 

次回は、ニットポロシャツをつくった理由その③自然体に着られる服って何だを考える、です。